クマモト発、ワクワクすることを一緒に。

アトリエ川野が運営するクマモトアイタカジャーナル.

新コーナー『ふるさと熊本へのラブレター』。

熊本から離れ、ふるさとを想うヒトにお話を伺います。

第2回は、女性実業家 菅原智美さんに貴重なお話を伺いました。

菅原さんは、新潟生まれの熊本育ちだと伺っています。

はい。新潟で生まれたんですが高校1年生の途中に両親の都合で熊本へ引っ越しました。熊本って新潟と全然言葉が違うじゃないですか。方言がすごくて本当にびっくりしました。熊本弁って、映画の世界だけかと思っていたら、本当に日常で使われていて。全く言葉がわからなかったんです。友人に「25メートル泳ぎきる?」って言われて意味が分からなかったのをよく覚えています。まるで海外に来たかのようなカルチャーショックでした。

 

言葉の違いをどう捉えて乗り越えていきましたか?

「最初は嫌だ嫌だ!新潟に帰りたい!」って思っていました。転校生で友達もできないですしね。でも、その頃、何かのテレビ番組を見ていたら『死ぬ気でやればなんでもできる』という言葉があって、それが心に刺さったのです。そこからプラス思考に変わりました。

 

なぜ熊本から東京へ?

私は、熊本に住んでいた当時は高校生でした。言葉の壁があった頃、嫌だ嫌だと思っていました。でも、自分だけ新潟へ行くなんていうことはできませんでした。だから、仕方なく親の言いなりでしたね。でも、気付いたんです。『自分で稼ぐ力』があればなんでもできるって。うちは放任主義だったのでアルバイトも自由でした。自分でできるならいいんじゃない?っていう感じで。悪いことしても笑いで終わる、みたいな。怒られた記憶がないんです。なんでも好きにさせてもらってきました。だから、アルバイトをして貯金して、自分で原付バイクを買ったりしました。本当に自由にしてもらえる環境。今考えると「自分で稼げたら買えるよ」っていう両親でよかったと思います。そういう高校生活を送って、女性でも活躍できる会社で働きたいと思ったんです。ビッグになりたくて、東京へ行くことを決めました。死ぬ気になって頑張ってみようと思ったんです。

 

菅原さんにとってふるさと熊本の存在とは?

熊本で生活したのは高校生活3年間だけで東京に出てきて35年が経ちました。でも実家も熊本にありますし、私が帰る場所は熊本です。帰ることができるのは年に3〜4回。一番落ち着く拠点でホッとします。

 

女性起業家の視点で考える熊本の課題は?

見本がいないというか、憧れられるような熊本のカッコいい女性起業家がいないんです。もっといていいと思います。例えば、稼いでいてカッコよくて、仕事も家庭も両立して生き生きしているような。そういう女性が目立つことでメディアに進出できたりしますよね。そうすると、それを見た女性が「あんな風になりたい」って憧れたりします。まだ地方では女性が起業をすると「家庭放棄してる」とか「子供が可哀想だ」とか言われちゃう。それ違う!って思うんです。そうじゃなくて、見本になる女性がもっともっといていいんですよね。

まだ、当たり前のように『女性はお茶汲み』という古い体質の会社もあるかも知れません。それじゃあ女性起業家は生まれないですよね。もし仮に、勤めているうちに管理職になって、部下を1人でも2人でももっていればマネージメントを実践で覚えることができます。そこから起業すれば、会社の仕組み、経営、経理、財務も経験しているから簡単なんですよね。企業内でも女性がそういう経験ができるようになればいいなって思うんです。企業内で女性が活躍すると女性起業家がもっと増えると思います。

 

今後、熊本でやりたいことはありますか?

熊本で女性の起業支援をしたいと思います。世の中の消費の80%は女性が支えていると言われています。そして、海外だともっと女性が社会で活躍しています。日本は世界に比べると遅れています。頑張る女性がもっともっといたらいいなぁと思うんです。例えば、熊本の商店街でシャッターが増えたのを見た時に、どう捉えるかが大切。それをチャンス!と思うか、潰れてしまって大変なんだなぁ・・・と思うか。チャンスはたくさんあると思うんです。私がオーナーをしている唐揚げ屋さん(※1)が熊本に1店舗あります。その家賃も都内と比較すると、驚くほど安いんですね。それ自体もすごいチャンスだと思うんです。

 

今、女性の活躍をテーマにした映画を製作されているとか

はい。ドラマとか映画は影響力があると思っていて。私の思いを物語にしたいと2年前の年始に“今年やりたいこと”のひとつとして書いていたら・・・テレビ制作会社から『女性の活躍』をテーマにしたテレビ番組をつくりませんか?とオファーを頂いたんです。でも実は、テレビ番組には興味がなくて・・・。映画のように残るものがよかったんです。それから、まさかこんなに大々的に映画をつくる流れになるなんて。今年の6月から全国のTOHOシネマズで放映されます。5月13日(土)13時から熊本でも上映会をします(※2)。この映画を観て多くの熊本の女性に何か感じて頂けたらと思います。

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生まれ育ったふるさとを離れ、夢に向かって挑戦している方々はたくさんいらっしゃるかと思います。ふと、ふるさとを思い出すと、ホッとしたり、優しい気持ちになれたりしますよね。

皆さまにとっての『ふるさと』とは、どんな存在でしょうか?

そこに生きる人たち、根付いている文化、素晴らしい景色・・・。

熊本だけでなく、日本にはそういった場所がたくさんあります。私たちが生きる日本は、どこかの誰かの『ふるさと』です。

これからも『ふるさと熊本』を応援するメディアとして、発信していきます。

引き続き、どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

(※1)からあげ縁 亀井商店街店

https://shop.arclandservice.co.jp/ae-shop/spot/detail?code=1644

 

(※2)今年6月に全国で公開される黒木瞳さん主演映画『魔女の香水』公式HP

https://majo-kousui.jp/

菅原智美さんプロフィール

実業家。新潟県生まれ、熊本県出身。高校卒業後、上京。

全日空エンタープライズ、リクルート株式会社にて勤務後、

独立起業。2009年には、一般社団法人エメラルド倶楽部を立ち上げ、

女性経営者1,800人の会員を束ねている。現在、今年6月に全国で公開

される黒木瞳さんの主演映画『魔女の香水』の制作統括としても活躍中。